いま電気自動車(BEV)に使われている二次電池の主流は、リチウムイオン電池(LiB)です。なかでも、ニッケル・コバルト・マンガン(NCM)や、ニッケル・コバルト・アルミ(NCA)を主成分とするタイプは、「3元系LiB」と呼ばれています。
単位体積あたりのエネルギー密度を高めるため、ニッケルの含有量を増やす「ハイニッケル化」が進んでいますが、その一方で、熱暴走などのリスクも取り沙汰されています。
また、急速充電などで発生する熱が蓄積し、電池温度が60℃に達すると、劣化が急激に進行するという問題も。夏場には車内の一部が100℃近くに達するとも言われており、それがこもると電池温度もあっという間に60℃前後に…。
そう、いまの日本で走っているほぼすべてのBEVに搭載されている3元系LiBは、「アツくなりすぎてはいけない」のです。
このリスクを抑えた選択肢が、リン酸鉄系(LFP)LiB。
レアメタルの使用量を抑えているためコストも低く、安全性にも優れるのが特長です。かつてはセル単体のエネルギー密度の低さが課題とされていましたが、セルレイアウトやパック設計の工夫により、「実質高密度化」が進行中。
中国のLiBサプライヤー(CATL、BYD、国軒高科など)によるLFP採用が拡大し、中国製BEVの約半数に搭載されています。この春、日本でも中国OEM製のBEVが販売開始され、その多くに高密度LFP-LiBが搭載されています。
さらに、日系OEM各社も、2020年代後半に向けて、より高密度な「バイポーラLFP-LiB」の市場投入を計画中。より安全で、コストパフォーマンスに優れたBEVが続々と登場していきそうです。
スターライトもまた、こうした時代の変化にしなやかに対応しながら、次の開発に挑んでいます。