クルマで使われるプラスチックは、「軽くて強い」という点に注目されがちですが、そもそも“強い”とはどういうことなのでしょうか。
硬さへの関係が強い「剛性」は、イメージするなら「コンクリート」。
重いものを載せてもたわみにくい素材ですが、ハンマーのような一点集中する衝撃を与えると割れやすい特徴があります。
その“割れやすさ”つまり壊れることを抑えるのが「強度」です。材料開発では、2つの特性をコントロールしながら設計が行われます。
- 荷重がかかった際に、剛性で破壊を抑える「弾性」
- 伸びつつ微細構造の変形などで荷重を支える「延性」
クルマの鋼材で話題になる超張力鋼(ハイテン)は、
“破壊しないこと”に特化した材料であり、衝突時のエネルギー吸収に効果があります。
数値的には、アルミの引張強度が300MPa程度なのに対し、ハイテンは580~1180MPaクラスまで実用化されています。
もちろん、製品断面の効果もありますが、鉄の比重はアルミの約3倍弱。
そのため、1180MPa級のハイテンになると、重量比ではアルミより有利になるケースもあります。
「それなら、全部ハイテンでいいのでは?」となりそうですが、実はそう単純でもありません。
ハイテンは非常に硬いため、プレス加工が難しくなるという課題があります。そのため、
- 形状に合わせてハイテンと軟質鋼を貼り合わせる
- 溶接技術を組み合わせる
といった工夫が必要になります。このあたりでは、日本の溶接技術が強みを発揮しています。
この点は、「部品点数が減るからアルミのメガキャスト!」と進める米・中OEMとは少し考え方が異なるところかもしれません。
強度よりも剛性を重視する部位はアルミで薄くつくる。強度重視の部位は断面形状を活かしたアルミやハイテンを使う。
そんなふうに、材料の特長、コスト、モノづくりまで含めて考える“マルチマテリアル設計”が重要になります。
もちろん、樹脂化設計でも同じです。
「なんでもプラスチック化すればいい」というわけではなく、実は“プラ化のポイント”があるんです。
例えば最近では、ネットワークポリマーにおいて、破壊時の荷重を分散させる「犠牲結合」という考え方も出てきています。
こちらは、次回ご紹介したいと思います。
