「プラスチックのプロ」のちょっといい話 Vol.10 材料の「強度」とは?ダブルネットワークゲルとは? その① コラム

「プラスチックのプロ」のちょっといい話 Vol.10 材料の「強度」とは?ダブルネットワークゲルとは? その①

クルマで使われるプラスチックは、「軽くて強い」という点に注目されがちですが、そもそも“強い”とはどういうことなのでしょうか。

硬さへの関係が強い「剛性」は、イメージするなら「コンクリート」。

重いものを載せてもたわみにくい素材ですが、ハンマーのような一点集中する衝撃を与えると割れやすい特徴があります。

その“割れやすさ”つまり壊れることを抑えるのが「強度」です。材料開発では、2つの特性をコントロールしながら設計が行われます。

  • 荷重がかかった際に、剛性で破壊を抑える「弾性」
  • 伸びつつ微細構造の変形などで荷重を支える「延性」

クルマの鋼材で話題になる超張力鋼(ハイテン)は、

“破壊しないこと”に特化した材料であり、衝突時のエネルギー吸収に効果があります。

数値的には、アルミの引張強度が300MPa程度なのに対し、ハイテンは580~1180MPaクラスまで実用化されています。

もちろん、製品断面の効果もありますが、鉄の比重はアルミの約3倍弱。

そのため、1180MPa級のハイテンになると、重量比ではアルミより有利になるケースもあります。

「それなら、全部ハイテンでいいのでは?」となりそうですが、実はそう単純でもありません。

ハイテンは非常に硬いため、プレス加工が難しくなるという課題があります。そのため、

  • 形状に合わせてハイテンと軟質鋼を貼り合わせる
  • 溶接技術を組み合わせる

といった工夫が必要になります。このあたりでは、日本の溶接技術が強みを発揮しています。

この点は、「部品点数が減るからアルミのメガキャスト!」と進める米・中OEMとは少し考え方が異なるところかもしれません。

強度よりも剛性を重視する部位はアルミで薄くつくる。強度重視の部位は断面形状を活かしたアルミやハイテンを使う。

そんなふうに、材料の特長、コスト、モノづくりまで含めて考える“マルチマテリアル設計”が重要になります。

もちろん、樹脂化設計でも同じです。

「なんでもプラスチック化すればいい」というわけではなく、実は“プラ化のポイント”があるんです。

例えば最近では、ネットワークポリマーにおいて、破壊時の荷重を分散させる「犠牲結合」という考え方も出てきています。

こちらは、次回ご紹介したいと思います。