ものづくりの世界には、まだ世の中に広く知られていない加工技術が数多くあります。その一つが「射出発泡成形」です。
この技術は、これまでも日用品や汎用品で採用されてきました。
スターライト工業では、高機能かつ高精度が求められる自動車やロボット用途等に向けた射出発泡成形製品の開発を進めています。
今回は、射出発泡成形の基本と、スターライト工業の新たな取り組みと可能性をワクワクする視点でご紹介します。
■そもそも射出発泡成形ってどんな技術?
射出発泡成形とは、微細な気泡(セル)を含んだ樹脂で製品をつくる加工技術です。
一般的な射出成形では、溶かした樹脂を金型へピストンのようなものでギュッと高密度になるよう押し込み、固めて製品にします。
一方、射出発泡成形は、溶かした樹脂に微細な気泡を形成する「タネ」を仕込みます。
そのタネがポップコーンのようにはじけて膨らむ力を利用し、金型に流れ込み、製品内部に気泡を含む構造体をつくります。
できた気泡のサイズや分布にもよりますが、製品設計次第では、軽くて強い構造をつくり出すことができます。
また、成形時に樹脂全体の粘度が下がり、微細な泡ができることで、製品内のひずみが残りにくく、ソリや変形を抑えられます。
さらに、膨らむ力が製品全体の収縮を抑えるため、製品の厚肉部分が平坦になります。
■射出発泡成形には大きく2種類ある
こんなに魅力がいっぱいの射出発泡成形は、大きく分けて「化学発泡」と「物理発泡」の2つに分類されます。
それぞれに特長があり、用途や求められる性能によって使い分けられています。
専用設備が必要な点以外は、物理発泡は化学発泡に比べて優れた点が多くあります。
発泡でできたセルの均一性が高いため、例えばポリプロピレン(PP)樹脂を用いた自動車のドア内装などの大型部品では、
軽量化や良好な外観品質を活かした開発が進んでいます。
もっと樹脂そのもののポテンシャルを、射出発泡成形で引き出せないか。
そんな思いから、スターライト工業では、PP樹脂に比べて数倍もの強度・剛性・耐熱性を持つ、
スーパー・エンジニアリング・プラスチック(スーパーエンプラ)を用いた射出発泡成形による製品開発に注力しています。
■スーパーエンプラを使いこなしてきた「プラスチックのプロ」だからこそできる挑戦!
これまでの射出発泡成形では、PP樹脂やABS樹脂など、比較的安価で加工しやすい汎用樹脂が使われ、
製品重量がキロ単位の大型製品に採用されてきました。
これは、軽量化効果が大きく、加工時のトラブルも少ないためです。
一方、スターライト工業が注目するスーパーエンプラは、成形温度がPP樹脂の2倍以上、
金型温度も150℃クラスに達する過酷な条件で加工するため、特殊な設備と厳密な加工条件の管理が必要です。
そのため、スーパーエンプラ製品の生産に対応できるメーカーは限られています。
私たちは、スーパーエンプラが国内に導入された約50年前の黎明期から、その特性を活かした製品開発を継続してきました。
その結果、「スーパーエンプラ製品ならスターライト」と多くのご依頼をいただいています。
この実績を強みに、スターライト工業は、スーパーエンプラの超高耐熱性・超高剛性に最新の発泡成形技術を組み合わせ、
新たな価値の創出に挑戦しています。
たとえば、これまで両立が難しかった「高機能」と「軽さ」を同時に実現できれば、
自動車用コネクタハウジングの高精度化・高平面化に加え、超薄肉化・超軽量化も可能になります。
さらに、ドローンや空飛ぶクルマの構造フレームでは、超軽量化に加え、不快な振動の吸収や耐衝撃性の大幅な向上も期待できます。
可能性は無限に広がっています。
