「プラスチックのプロ」のちょっといい話 Vol.8 混ぜると地球にやさしくなるプラとは? コラム

「プラスチックのプロ」のちょっといい話 Vol.8 混ぜると地球にやさしくなるプラとは?

よく耳にする「バイオプラ」。これは、石油ではなく、植物などの再生可能資源からつくられたプラスチックのことを指します。たとえば、サトウキビの廃材に含まれる糖分からつくるポリ乳酸や、非食用植物であるトウゴマを原料としたバイオマスポリアミド(ナイロン)などがその代表です。

でも、クルマの分野でいま注目されているのは、内装や外装に使われはじめている「イソソルバイト」。これも、でんぷんや糖からつくられる樹脂で、透明性や耐衝撃性にすぐれ、ポリカーボネートのように使える素材です。しかもイソソルバイトは光沢があり、傷つきにくい。だから最近では、塗装をしなくても高級感のあるグリル部品にも使われています。植物由来で、なおかつ塗装レス―つまり、“二刀流のカーボンオフセット”を叶えてくれる、頼れる素材なんです。

さて、環境問題としてよく取り上げられる「マイクロプラスチックこれは、たとえばパッケージ容器が紫外線で劣化し、数ミリサイズの破片となって海や陸に残る現象です。こうした破片を、小さな野生動物が誤って飲み込んでしまい、体内に残ってしまうのが問題となっています。

もちろん、ポイ捨てをしないことが大前提ですが、近年では台風などの災害によって生活用品が海に流出するケースもあります。そんな背景から、海水やバクテリアで分解される「生分解性樹脂」の活用が進んでいます。ただし、生分解が進むには特定の条件が必要で、それが整わないと結局はマイクロプラスチックになってしまうことも。

そこで登場したのが、“タイマー付きの分解サポート”のような添加剤。これは、一定期間使ったあとに、ベースの樹脂を低分子化し、自然界の微生物が分解できるサイズに変えてくれるというもの。なんと、石油由来の樹脂でも、生分解可能にしてくれるというのです。

環境に配慮したプラスチック技術は、これからも進化を続けていきます。そうした技術を、どこで、どう活かしていくか。ともにつくる仲間と一緒に、その可能性を探り続けていきたいと考えています。