「音が苦手」でも、音楽が嫌いなわけじゃない―シンガーソングライター 楓子さんと考える、こどもたちが安心して音楽を楽しめる環境づくり 特別対談

「音が苦手」でも、音楽が嫌いなわけじゃない―シンガーソングライター 楓子さんと考える、こどもたちが安心して音楽を楽しめる環境づくり

OmimimO(おみみも)プロジェクトは、こどもの発達や感覚特性に目を向け、“イヤーマフにより聴覚を守るという選択肢”を社会に広げる取り組みです。

今回は、音楽イベントでこどもたちがどんな反応をするのかを調査するため、比治山大学のホールにてミニライブを行いました。当日は、比治山大学付属幼稚園のこどもたちと保護者の皆さまにご参加いただき、シンガーソングライターの楓子さんが歌を披露。会場内の音環境を測定しつつ、こどもたちの反応を観察しました。また、一部のこどもにはイヤーマフを装着してもらい、装着時の様子や反応も調べました。ミニライブ後に、音楽を届ける立場から見たOmimimOの必要性や、こどもたちが安心して音楽を楽しめる環境について、楓子さんにお話を伺いました。

音楽が嫌いではないはずなのに、耳を塞いでいる子がいる

スターライト(ス):七木田先生からOmimimOプロジェクトについて聞いたとき、どのような印象を持たれましたか。

楓子(楓):「ありそうでなかったな」と思いました。

これまでいろいろな場所でライブをしてきましたが、耳を塞いでいるこどもを見かけることがあるんです。でも、その子たちも会場には来てくれているので、音楽が嫌いではないはずなんですよね。音楽を聴きたい気持ちはある。でも、音の刺激が強くて耳を塞いでいる。

そういうこどもたちがOmimimO(イヤーマフ)をつけることで、耳を塞ぐほどの刺激を感じずに、音楽を自然に楽しめるようになるなら、すごく良いなと思いました。

:今日のミニライブでも、音に反応して耳を塞いでいる子がいましたね。

:私も途中でそれに気づいて、少し声のトーンを落としたんです。声を少し抑えるだけで耳を塞がなくなるなら、OmimimOで“聞こえる音量を少し小さくしてあげること”には意味があるんだろうなと感じました。演奏する側がずっとパフォーマンスを抑えるのではなく、こどもたちが自分にとって受け取りやすい音で楽しめる。そうなれば、届ける側にとっても、聴く側にとっても良いですよね。

耳を守ることは、音楽に参加することにもつながる

:今日、こどもたちの反応を見ていて、印象に残ったことはありますか。

:こどもは、全身で音楽を楽しむんだなと思いました。手拍子をしたり、振り付けをまねしたり、周りのこどもたちと一緒に楽しんだりするには、両手が使えることも大切なのだと、今日の様子を見て気づきました。でも、耳を塞いでいると、両手がふさがってしまいますよね。OmimimOをつけることで両手が空くと、音楽に参加しやすくなるのかなと思いました。

:OmimimOは、単に音を小さくするだけでなく、こども達が音楽に参加しやすくするツールにもなり得るかもしれませんね。

:大きな音を怖がる子と、そうではない子がいるのは自然なことだと思います。それは大人でも同じですよね。だからこそ、みんなが同じ聞こえ方でなくても、それぞれに合ったかたちで同じ空間を楽しめることが大事なのかなと思います。

楓子さんの歌声に合わせて、思い思いに音楽を楽しむこどもたち

音を小さくするのではなく、こどもが受け取りやすいかたちに整える

:音楽を届ける立場から見て、OmimimOにはどのような可能性があると感じますか。

:音楽って、大きな音だからこそ伝わる迫力や楽しさもありますよね。ライブでは、歌声だけではなく、ドラムや太鼓、伴奏や生演奏の音などもあります。音が体に響くような感覚や、観客との一体感もライブならではの魅力だと思います。だからこそ、ライブの魅力はそのままに、音の刺激だけを少しやわらげられたら、楽しめる子が増えるのかなと思います。OmimimOのような選択肢があることで、「ちょっと聴いてみようかな」「一緒に楽しめるかも」と思える子がいたら、すごく素敵だなと思います。

:音楽だけでなく、神楽やお祭り、イベントなど、こどもたちの周りには、大きな音とともに楽しまれてきた文化や体験がたくさんあります。そうした場からこどもたちを遠ざけるのではなく、耳を守りながら、自分に合ったかたちで参加できる選択肢を増やしていきたいと感じました。

聞こえる音が少し小さくなっても、楽しい気持ちや幸せな気持ちは同じように届くと思います。OmimimOをきっかけに、音が苦手だった子が音楽を好きになったり、みんなと一緒に楽しめる時間が増えたりしたらうれしいです。

こどもたちが安心して音楽を楽しめる環境づくりにご協力いただいた皆さんと