タイトルを聞くと、「とても硬くて強いプラスチック」を想像される方も多いかもしれません。
けれども、今回注目するポイントは、「温度」。金属のように温度変化してもすぐに伸びたり縮んだりしないプラスチックがあるのです。
専門用語を使うと「熱膨張が金属並みに小さいプラスチック」と呼ばれます。
例えば、長さ1mの棒を20℃から100℃まで加熱した場合、鉄などの金属の場合、およそ1mm程度の伸びにとどまります。
一方、一般的なプラスチックは同じ条件でも7~9mmも伸びます。
この寸法変化の差をどう解釈するかですが、電子や車載など精密機器の分野では、
わずかな差でも部品間の干渉や位置ずれによる故障につながる可能性があります。
近年、半導体回路の高密度化が進み、回路線幅が数nmとなったように、特に電子機器分野は高精度要求が劇的に進んでいます。
部品同士のわずかなズレも許されない設計が当たり前になる一方で、
軽量化や加工のしやすさ、さらには設計自由度といった要素ももちろん重要です。
そこで「軽くて加工しやすい」プラスチックの良さを活かしつつ、熱膨張が金属並みに小さい材料があれば、
超精密分野への要求に応えられるのではないかと考えます。
熱膨張が金属並みに小さいプラスチックを実現するためには、ガラス繊維や無機フィラー等の充填材の複合化が重要なポイントです。
熱で動きやすいプラスチックを内側から支える構造にし、さらにこれらのフィラーをいかに均一に分散させるか、
また狙い通りに整列させるか(配向といいます)も性能を左右する重要な要素です。
一方、熱膨張を抑えるためにフィラーの割合を過度に増やすと、フィラー同士を結びつける役割を担うプラスチックの割合も減るため、
流動性が低下し、成形性が損なわれる場合があります。
こうした相反する要素を踏まえながら、材料設計のバランスを最適化することが重要であり、その見極めは容易ではありません。
そんな熱膨張が金属並みに小さいプラスチックの用途として、
スターライト工業は、水素などのガス圧縮機用シール材として提案しています。
金属部品にはめ込まれるシール材には、温度変化の際に金属と同じように振る舞う熱膨張特性が求められます。
金属に組み合わせて使う用途としては、精密加工機の台座やロボットの構成部品があり、
今後もますます高密度化させる半導体基板でも活躍できそうです。
材料の設計からそれを活かす製品設計、そして加工までワンストップで展開するスターライト工業は、
プラスチックの可能性をさらに広げ、「これからの困りごと」に応える提案をすすめていきます。
