石炭酸とは最古の工業用樹脂と呼ばれるフェノール樹脂のこと。材料表記では『PF』(正式名Phenol Formaldehyde)。
PF材の特長は、①超耐熱、②絶縁、③不燃、④高強度・高剛性など数多く挙げられ、金属並みの耐熱性で軽い点などから産業設備や生産機械では必須の樹脂材料です。私たちのオリジナル材「BAKES®」「エスベア®」にもPF材をベースにしたグレードがあります。
まず、PF材ベースのBAKES®を例に挙げてPF材の特長をご紹介します。
PF材の特長は、なんといっても『超耐熱』。1200℃のガスバーナーの炎を一般の耐熱樹脂に当てれば、劣化し表面の膨張・変形が起こりますが、PF材ベースのBAKES®では表面が黒くなるだけで形状変化はほぼありません。
では、どのような場面で活躍できるのか?
例えば、高回転する駆動部分が異常発熱した場合でも膨張や変形が起こらないので、しばらくは運転し続けられます。発熱で変形する樹脂や焼付きが起こる金属では、その部分でロックが起こるなどのリスクとなります。PF材ベースのBAKES®なら、そのリスクを減らせる可能性があります。
続いて、オリジナル材 エスベア®でPF材の特長をご紹介します。
物質は温度変化により膨張が起こります。『熱線膨張係数』は一定温度帯における変化率を表します。下表ではPF材ベースのエスベアP3602、アルミ金属、そしてポリアミド樹脂(別名:ナイロン、材料表示はPA)の常温~180℃域における熱線膨張係数を比較しています。
また、樹脂の場合、型内へ流れ込み固まる際、樹脂の流動方向とその垂直方向で熱線膨張が異なります。その差は温度変化による寸法の長短差に影響しますが、PF材ベースのP3602 ではその差がとても小さいのです。
・熱膨張が小さいPF材ベースP3602のうれしさとは
アルミをP3602で代替しやすくなります。これまでと同じ寸法設計でOKに。ポリアミドでは温度変化による膨張を加味した設計が必要となり、広めの隙間設定が必要になります。また、剛性(曲げ弾性率)への温度変化の影響が低い点もPF材ベースP3602のうれしさです。
今後も、あなたの知らないPF材の世界を紹介していきます!
- TOP
- コラム
- 石炭酸って知っていますか? 樹脂を超えた、古くて新しいPF材